うどんとそばの塩分に注目！健康に配慮した選び方と食べ方のポイント

私たちの食卓に身近な存在である「うどん」と「そば」。どちらも和食の代表格として、老若男女を問わず長年愛されてきた麺料理ですが、近年では「塩分」の観点から見直す動きも広がっています。特に高血圧や腎臓疾患、生活習慣病のリスクが気になる人々にとって、日々の塩分摂取量は健康維持に直結する重要なテーマです。この記事では、うどんとそばの違いや、塩分の影響、さらに食べ方の工夫までを徹底的に解説し、読者が安心して麺類を楽しめるような知識を提供します。

うどんとそば、それぞれの塩分量の特徴とは？

うどんとそばは、どちらも日本の食文化に欠かせない主食ですが、塩分量の観点で見ると、その成り立ちや食べ方に違いがあることがわかります。まず、うどんについて考えてみましょう。うどんは小麦粉に水と塩を加えて練り上げ、しっかりとしたコシと弾力を生み出す製法が一般的です。このときに加える塩は、麺の粘りや保存性を高めるために必要な要素であり、見た目には分かりづらいものの、すでに製麺段階である程度の塩分が含まれています。

一方、そばはそば粉を主原料とし、小麦粉の割合が多くなる「二八そば」や、そば粉100％の「十割そば」など、種類も多様です。製麺時に塩を加えないケースが多く、麺単体で見た場合にはうどんよりも塩分が低い傾向にあります。しかしながら、問題はつゆの塩分です。どちらも出汁ベースのしょうゆ味のつゆで食べることが多く、ここに多くの塩分が潜んでいます。かけ汁やつけ汁をすべて飲み干すことで、1食あたりの塩分摂取量が推奨値を大きく超えてしまうこともあります。

特にうどんのスープは、関東風と関西風で味の濃さや使うしょうゆの種類が異なり、見た目の濃淡では判断しにくい塩分濃度となっている場合があります。そばの場合も、冷たいざるそばのつけ汁は濃縮されているため、麺をひたすごとに塩分が多く摂取されてしまうことがあります。このように、麺そのものの塩分量だけでなく、スープやつゆの取り方によっても、体内に取り込む塩分量は大きく変わるという点を理解しておくことが大切です。

うどんは塩分が高い？製法にひそむ理由と対処法

うどんが塩分を含んでいる最大の理由は、その「製麺工程」にあります。小麦粉に水と塩を加えてよく練り、一定時間寝かせることでグルテンが生成され、もちっとした弾力のある食感が生まれます。この塩は、単なる味付けのためだけでなく、うどんのコシや歯ごたえ、さらには麺の滑らかさや保存性にも大きく寄与しています。そのため、市販されているうどん、特にチルドうどんや冷凍うどんには保存目的の塩が加えられていることもあり、実際には見落とされがちな塩分源となっています。

また、うどんはあっさりした味付けが多いため「塩分が少ないだろう」と思われがちですが、かけうどんやぶっかけうどん、釜玉うどんなどでも、つゆの塩分やトッピングの塩分を合わせると、かなりの量を摂取していることになります。特に、天ぷらや揚げ玉、きつねうどんの甘辛い油揚げなどのトッピングは、味を引き立てる一方で、塩分も糖分も多く含んでいます。

こうした塩分を抑えるには、自宅で調理する際の工夫が不可欠です。まずは、麺を茹でた後にしっかり水洗いして、表面の塩分を落とすこと。次に、だしをしっかり効かせた自家製つゆを使い、しょうゆの量を抑える。昆布やかつお節、干し椎茸などを組み合わせた天然だしは、塩分が少なくても風味豊かに仕上がるため、満足感のある味付けが可能になります。また、減塩タイプのしょうゆや、ナトリウム控えめのつゆ製品を利用するのも効果的です。

そばの塩分は本当に低い？つゆとのバランスに注意

そばは「健康的な食品」として広く認識されているため、うどんよりも安心して食べられると思っている方も多いのではないでしょうか。確かに、そば自体には塩を加えずに作られることが多く、ミネラルや食物繊維も豊富な食材です。また、そばに含まれる「ルチン」という成分は、血管を強くする作用があり、高血圧や脳卒中の予防にもよいとされています。

しかし、落とし穴となるのが「つけ汁」です。そばの風味を引き立てるために、濃い目のつゆが用意されていることが多く、とくにざるそばやもりそばなどでは、つゆにしっかり浸して食べるスタイルが一般的です。濃口しょうゆをベースに、みりんや砂糖などを加えて煮詰めたそばつゆは、風味こそ豊かですが、塩分量も高めです。しかも、つゆを繰り返し使っているうちに濃くなっていくため、食事が終わる頃には予想以上の塩分を摂取しているケースもあります。

そばを健康的に楽しむためには、まずは「つけ汁は軽くつける」程度を意識すること。つゆをしっかり染み込ませなくても、そばそのものの香りや食感を楽しめるようになると、自然と塩分摂取量も減らせます。また、温かいそばを選ぶ場合も、かけ汁を全部飲まないことを意識するだけで、塩分を半分以上カットすることができます。自宅で食べるなら、だしベースの薄味のスープを工夫し、必要最小限の調味料に抑えることが理想です。

麺類を健康的に楽しむには？塩分との付き合い方

麺類は日本人にとって非常に身近で、手軽に食べられるため頻度も高くなりがちです。そのぶん、毎日のように食べていると塩分の積み重ねが思った以上に大きくなり、知らぬ間に高血圧のリスクを抱えることにもなりかねません。しかし、ちょっとした意識や工夫によって、麺類を健康的に楽しむことは十分に可能です。

第一に重要なのは「だしの活用」です。昆布や鰹節、煮干し、干ししいたけなど、昔ながらの天然素材を使った出汁は、塩を加えなくても奥深い味わいが生まれます。これにより、つゆに頼りきらなくても料理全体に旨味が広がり、結果的に調味料の量を減らすことができます。

次に「トッピングの工夫」も大切なポイントです。揚げ物や味の濃い具材は避け、代わりに野菜や山菜、海藻類など、素材本来の味を活かせる食材を使うことで、塩分に頼らなくても食べ応えが出てきます。また、薬味を上手に使うことも満足感を高める要素となります。おろし生姜、すだち、七味唐辛子、大葉などは、塩分を増やさず風味を豊かにすることができるアイテムです。

外食時に気をつけたい、うどん・そばの選び方

外食の際、うどんやそばは安価で提供されていることも多く、手早くお腹を満たすのに便利な選択肢ですが、その反面、塩分の摂取量が増えてしまいやすいという落とし穴もあります。店側が提供するスープやつゆの味付けは、どうしても万人に美味しく感じられるよう濃いめに設定されていることが多く、これが塩分量の増加につながっています。

特に注意が必要なのは、かけうどんやかけそばといった温かいメニューです。スープは塩分を含むしょうゆやみりんで作られ、すべて飲み干してしまうと、知らず知らずのうちに相当な量の塩分を摂取してしまいます。つけ麺スタイルのざるそばなども、つゆをしっかり付けて食べると結果的に多くの塩分が体に入ってきます。さらに、天ぷらやコロッケなどの揚げ物がセットになっているメニューでは、衣の中にも下味の塩分が含まれており、合計の塩分量はかなりのものになります。

こうした中でもできる対策はあります。例えば、「汁はなるべく残す」「トッピングはシンプルなものを選ぶ」「薬味や野菜で味に変化をつける」など、ちょっとした選び方や食べ方で塩分をコントロールできます。また、最近では健康志向の高まりから、減塩対応のつゆを使用している飲食店や、つゆを別添えにして調整できるお店も増えています。注文時に「スープは少なめに」と伝えるだけでも対応してもらえることが多いので、気になる方は遠慮せず伝えてみることをおすすめします。

うどんとそば、どちらがより健康的か？

うどんとそばを健康的な観点で比較するには、単純に「塩分が多いか少ないか」だけでなく、それぞれの栄養成分や体への影響も含めて考えることが重要です。まず、うどんは消化がよく、胃腸に優しいという点が特長です。体調が悪い時や、病中病後、夏バテで食欲がないときなどに食べやすく、体に負担をかけにくいというメリットがあります。一方で、精製された小麦粉が主成分のため、栄養価はやや乏しく、血糖値が上がりやすいというデメリットもあります。さらに、前述したように製麺段階で塩を多く使っていることも、塩分を気にする人にとっては要注意ポイントです。

一方、そばは栄養バランスの面で非常に優れた食品です。特に「十割そば」や「二八そば」のように、そば粉の割合が多いそばには、ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛などのミネラルが豊富に含まれています。そば特有の栄養成分であるルチンは、血管を丈夫にし、血流を促進する働きがあるため、高血圧の予防や動脈硬化の抑制にもつながるといわれています。さらに、そばは低GI食品でもあるため、血糖値の急上昇を防ぎたい糖尿病予備軍の方や、ダイエット中の方にも適した食材と言えるでしょう。

ただし、そばも万能ではありません。前述のようにつゆの塩分が高くなりがちな点には注意が必要ですし、そばアレルギーのある人にとっては命に関わる危険性もあります。結局のところ、うどんとそばのどちらが良いかは「どう食べるか」「何を加えるか」によって決まるともいえます。栄養価だけでなく、調理法やトッピングの内容、汁の摂り方までトータルで考えることが、健康的な麺類の摂取には不可欠です。

減塩志向の方におすすめのうどん・そば商品とは？

最近では、食の安全や健康志向の高まりに伴い、スーパーや通販サイトでもさまざまな減塩商品が販売されています。特にうどんやそばに関しては、製造時に塩分を極力控えた製品や、塩を使わずに作られた麺が登場しており、毎日の食事に取り入れやすくなっています。たとえば、十割そばはそもそも塩を使わずに製麺されることが多く、自然なそばの香りと風味を味わうことができる上、塩分の心配も少なくて済みます。

うどんに関しても、最近では「減塩うどん」や「塩不使用うどん」と表示された商品が増えています。これらは従来よりも塩分を30～50％程度カットしており、しかも麺のコシやのど越しはそのままに仕上げられているため、食べやすさを損なうことなく健康に配慮できます。さらに、塩分控えめのめんつゆや無添加の出汁パックと組み合わせることで、より一層減塩効果が高まります。

また、味付けの工夫として、レモンや柚子、しそ、しょうがなどの酸味や香りを活かすことで、少ない塩分でも満足できる味わいに仕上がります。塩分に頼らずとも食材本来の旨味を楽しむという発想は、まさに現代の食生活にふさわしいアプローチといえるでしょう。日々の食事の中で「ほんの少し」の意識と選び方の工夫を積み重ねることで、健康と美味しさの両立は十分に可能です。

塩分と上手に付き合いながら、うどんとそばを楽しもう

麺類は日々の食卓に欠かせない存在であり、多くの人にとって「ほっとする味」として親しまれています。しかし、気をつけなければその手軽さゆえに、塩分を過剰に摂取してしまうリスクも潜んでいます。うどんとそば、それぞれに塩分の特性があり、それぞれの魅力があるからこそ、きちんと理解して上手に付き合っていくことが大切です。

まずは、塩分の多いスープをなるべく飲み干さない習慣をつけること。これは健康維持のための最も基本的な工夫といえます。そして、麺を選ぶときは製品表示をよく確認し、できるだけ塩分を抑えた商品を選ぶように心がけましょう。また、だしの取り方、つゆの薄め方、薬味の活用、トッピングの選び方など、毎日の「ちょっとした工夫」の積み重ねが、将来の健康を守ることにもつながります。

うどんもそばも、日本人にとって長年親しまれてきた大切な食文化の一部です。健康を気にして食べるのを避けるのではなく、正しく知って、上手に選び、楽しく食べること。それが、これからの時代に求められる「賢い食生活」の第一歩となるでしょう。これからも、うどんとそばを塩分と上手に付き合いながら、美味しく・安心して楽しんでいきましょう。

まとめ

うどんとそばは日本人の食卓に欠かせない麺料理であり、日常的に親しまれている一方で、塩分の摂取という視点から見直すことも重要です。うどんは製麺過程で塩を多く含むため、麺自体の塩分が高めであり、さらにスープやつゆの摂取によって、総合的な塩分摂取量が増えやすい傾向があります。対して、そばは麺そのものに塩を含まないことが多いものの、つゆが濃い味付けであるため、食べ方によってはうどん同様に塩分を多く摂ってしまう可能性もあります。

健康を意識して麺類を楽しむには、まずは「汁を飲み干さない」「減塩タイプのつゆを使う」「塩分の少ない具材や薬味を活用する」といった小さな工夫が大切です。そばに含まれる栄養素やうどんの消化の良さといった特性を理解し、自分の体調や目的に合わせて選ぶこともポイントです。

また、最近では減塩うどんや無塩製麺、低ナトリウムつゆなど健康志向の商品も多く流通しており、賢く選ぶことで無理なく塩分コントロールが可能です。外食時にも「つゆ控えめ」や「薬味で風味付け」などを意識することで、美味しさを損なわずに健康的な食事を実現できます。

塩分は完全に避けるべきものではありませんが、摂りすぎには注意が必要です。うどんもそばも、正しい知識と工夫次第で、塩分を抑えながらも美味しく楽しめる存在です。これからも健康を意識しつつ、うどんやそばの魅力を存分に味わっていきましょう。