「うどん返し」ってなに？知られざるうどんの“味の決め手”を徹底解説

うどんといえば、日本人の食卓に欠かせない身近な料理のひとつです。手軽に食べられて、胃にも優しく、子どもからお年寄りまで幅広い層に愛されています。そんなうどんを作るときに「返し（かえし）」という言葉を見聞きしたことはありませんか？レシピを調べると「うどん返しを作ってから出汁と割る」といったような記述に出くわすこともあるでしょう。

実はこの「返し」は、うどんの味を大きく左右する“肝”とも言える存在です。とはいえ、普段の生活ではあまりなじみのない言葉でもあり、「うどん返しって結局何？」「どうやって使えばいいの？」「家庭でも作れるの？」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな「うどん返し」について基礎から応用まで徹底的にわかりやすくご紹介します。読み終える頃には、うどんをもっと美味しく、もっと自由に楽しめるようになるはずです。

うどん返しとは？出汁との違いを理解しよう

まず、「返し」とは何かを正確に理解するところから始めましょう。返しとは、主にしょうゆ・みりん・砂糖を煮詰めて作る濃縮調味液のことです。関東風のそばつゆやうどんつゆ、あるいは天つゆや丼物などの味付けのベースとして広く使われています。

うどんに使う場合は、「かけつゆ（温かいうどん）」や「つけつゆ（冷たいうどん）」を作る際の味の核になります。ここでポイントなのが、「出汁」とは異なる存在だということ。出汁は昆布やかつお節、煮干しなどから取った風味豊かな液体ですが、これだけでは塩気や甘みはほとんどありません。そこに「返し」を加えることで、初めて“つゆ”として完成するのです。

つまり、出汁がうどんの“骨格”であるならば、返しは“味の装い”です。この２つが合わさって、はじめて私たちが慣れ親しんだ「うどんのつゆ」が出来上がるというわけです。

うどん返しの基本的な作り方

市販のめんつゆでも十分美味しいうどんを作ることはできますが、本格的な味わいを楽しみたい方には自家製のうどん返しを作るのがおすすめです。作り方はとてもシンプルで、家庭の調味料で簡単に作れます。

基本となる材料は、「濃口しょうゆ」「みりん」「砂糖」の3つです。代表的な配合比率は以下のようなものです：

• 濃口しょうゆ：1
• みりん：1
• 砂糖：0.5

これを鍋に入れて火にかけ、弱火でゆっくりと煮立てます。アルコール分を飛ばし、砂糖を完全に溶かしたら完成。粗熱を取ってから保存容器に移し、冷蔵庫で数日間寝かせると、味がまろやかになってさらに美味しくなります。

ポイントは「火を入れてから一晩以上寝かせること」です。作りたてよりも、時間をおいて味が馴染んだ方が断然おいしいです。冷蔵保存すれば1週間〜10日程度は持ちますし、たくさん作っておけば日々の料理にとても便利に使えます。

返しを使ったうどんつゆの作り方

返しだけではうどんのつゆにはなりません。返しに出汁を加えて、はじめてうどん用のつゆが完成します。たとえば、以下のような割合が定番です。

• かけうどん用つゆ（温かい）：出汁7：返し1（〜1.5）
• つけうどん用つゆ（冷たい）：出汁4：返し1

冷たいつけつゆは味がぼやけやすいので、やや濃い目の配分にするのがコツです。あとは好みに応じて濃淡を調整すれば、自分好みの味が簡単に作れます。

出汁は昆布とかつお節の合わせ出汁が一般的ですが、煮干し出汁や干し椎茸を加えることでより深みのある味になります。最近では市販のパック出汁もクオリティが高く、手軽に本格的な味が再現できます。

うどん返しはうどん以外にも大活躍

「返し」はうどんだけに使うものと思われがちですが、実は様々な料理に応用できる万能調味料です。たとえば、煮物や炒め物の味付け、卵かけご飯の醤油代わり、さらには肉じゃがや親子丼の味付けにも重宝します。

例えば、いつもの焼きうどんに返しを使うと、甘みと深みが加わってグッと本格的な味に。肉野菜炒めの味付けに少し加えるだけで、お店のような風味が楽しめます。また、魚の照り焼きや煮付けのタレとして使えば、味に一貫性が出て「料理上手」に見られること間違いなしです。

つまり、うどん返しを作って冷蔵庫に常備しておくだけで、毎日の料理がグレードアップするんです。和食のベースとなる味付けが1つにまとまっているため、時短にもなりますし、失敗も減ります。

市販の「うどん返し」商品ってどうなの？

最近では、スーパーや通販サイトでも「返し」として売られている商品を見かけることが増えてきました。「めんつゆ」との違いは？と戸惑う方もいるかもしれませんが、返しはあくまで“出汁を入れていない状態の濃縮ベース”です。一方で市販のめんつゆは、すでに出汁が入っており、そのまま水やお湯で薄めて使うのが前提です。

市販の返しは、手間を省きつつ、必要に応じて自分好みに出汁と割ることができるという利点があります。また、保存性も高く、冷蔵庫で数カ月持つものも多いので、買っておいて損はありません。

自作が難しい、あるいは時間がないという方には、市販の返しを使うのもひとつの選択肢です。ただし、成分表示をよく見て、なるべくシンプルな原材料のものを選ぶのがポイントです。甘味料や保存料が多いと、やや人工的な味になってしまうこともあるので注意が必要です。

地域による返しの味の違い

「返し」と一口に言っても、地域によって好まれる味が異なるのも日本の面白いところです。たとえば関西では、しょうゆの色や風味が控えめな“薄口しょうゆ”を使う傾向が強く、返しもやや淡口で出汁の風味を際立たせるように仕上げます。

一方、関東では“濃口しょうゆ”をベースにした返しが主流で、色も濃く、しっかりとした甘辛い味が特徴です。そのため、同じうどんでも、つゆの色や味が全く違うという現象がよくあります。

最近では、ネット通販で全国各地のうどんつゆや返しを手軽に取り寄せることができるようになったので、いろいろ試してみて「自分の好きな返し」を見つけるのも楽しいですね。

まとめ：うどん返しを知れば、うどんがもっと美味しくなる

「うどん返し」は、日常的に食べるうどんの味をぐっと引き立ててくれる隠れた立役者です。ただの調味液ではなく、出汁と組み合わせて“味の要”となる存在。家庭でも簡単に作ることができ、保存もきくうえに、うどん以外の料理にも応用できる万能調味料です。

「うどんをもっと美味しく作りたい」「市販のつゆではちょっと物足りない」と感じている方は、ぜひ一度「うどん返し」を手作りしてみてください。たったそれだけで、食卓がグッと豊かになりますよ。

そして、「返し」にこだわるようになると、きっとあなたも“うどん通”への第一歩を踏み出すことになるでしょう。